G:ステージ1:ドル円おこづかい編
■23 ドル円おこづかい制度のアウトライン
子どもたちが金融教育の加減算を
クリアする頃を見計らって、外国為替(ステージ1)を開始します。
あなたのお子さんが最初の子ども(第一子)ならば、
小学校5年前後が目安になります。
第一子がこの金融教育をしていると、
第二子は興味を持ちますし
お姉ちゃんお兄ちゃん顔で教えるようになりますので、
小学校3年程度で開始しても大丈夫です。
ここでいう外国為替は、
FX(外国為替証拠金取引)ではなく
どちらかというと外貨預金に近いものです。
さて、ドル円おこづかいのアウトラインをご紹介します。
- 入金: 固定ドルを記載
毎月定額ドルを、 (例:入金5ドル)
親の前でおこづかい帳に記載させます。
おこづかい帳の入金は月初5日間のみ、自己申告としています。
仮に、同期間を見逃した場合は入金しません。
権利放棄とみなします。ここは厳しく運用します。
- 出金: 為替レートで円換算
引き出しの際は、ドルを円に換算し現金化します。
引き出し時のレートは、
最初の頃は新聞のドル円レートを提示させます。
ある程度慣れてくれば、自己申告的に自分でレート記入させます。
- おこづかい帳の使い方
みなさんのイメージであるおこづかい帳は、
なにを買ったかを管理するもの (ビジネスでいう出納帳)
ここの金融教育で使うおこづかい帳は、資金管理表としています。
なので、何にいくら使ったかは記載しません。
いくら為替益を得たか、いくら持っているかを記載しています。
- 補足事項
銀行が外貨を買い取る(外貨を円に交換する)時に
用いられる為替レートであるTTBや、
その逆である外貨売(円を外貨に交換する)時に
用いられる為替レートであるTTSは、
さすがに可哀想なので無視します。
- 効能
・社会ニュースへの関心度アップ
当然ですが、ドル円レートに敏感になります。
いままでまったく興味を持たなかったTVのニュース内で、
今日の為替は・・・というキャスター発言に
過剰反応するようになります。 w
・疑問をもつきっかけ
ドル円レートは日々変化するものなのだということに気づきます。昨日よりXX銭円安になった、
いまおこづかいの残高がXXドルあるので
XX円おこづかいが増えた!/減った!
という会話をしてください。
そのうちなぜ為替が変動するのかが疑問を持ちます。
■24 ドル円おこづかいの進化と発展形
- 進化
進化1: ドル=>円から、円=>ドルへ
ドル円おこづかいに慣れてくると、
ドル=>円とは別に円=>ドルしてもいいかといってきます。
よく気づいた!
と褒めてあげましょう、そしてそのやり方を認めてあげましょう。
特にお年玉とか高額な臨時収入がある場合など、
あなたから子ども達へその旨を伝えてみるのもいいです。
進化2: ユーロの存在に気付く
ドル円おこづかいをやっていると、
ユーロ円の存在に気づいてきます。
ユーロとはどんな通貨なのか、その歴史など。
世界のお金についても教えてみるのもいいですね。
そのほか、世界の通貨(ローカルカレンシー)や、
国際通貨(ハードカレンシー)の違いを教えてあげてください。。
そしてなぜ国際通貨が必要なのかなど話し合ってみてください。
- 発展形
このドルおこづかいは、円ベースでは変動制となりますが、
その変動幅は微々たるもの。
1ドルで1円円安に動いてもたった1円、
仮に100ドルあったとしても
100円程度しか親であるあなたの支払額は増えません。
その点ではノーリスクに近いものですね。
なので、子どもによっては、儲け分が少ないと不満を
口に出すんじゃないかと思われるかもしれません。
もしそうなら、その子どもは大したものです。
仮にそうなってしまったら
次のような追加ルールを設けてみてください。
追加ルール1: 一定期間後のドル円は円安?円高?
来週(または来月)のドル円レートは
いまより円安・円高のどちらに振れるのか。
これを当ててみるというルール。
当たれば臨時おこづかいとして
ドル(例:1ドル)をあげることにします。
子どもたちはチャートを片手に真剣に予想しはじめますよ。
追加ルール2: ドル円予想
円安・円高の二者択一ではなく、
ドル円レートを予想してみるルール。
さすがに一銭単位ではあたりづらいので、
十銭単位(例:119.3円台)とか
二十銭枠(例:119.30-50)などの工夫をしてみてください。
基準値として、朝刊のドル円でいくのか、
Bid/Askのどちらを使うか、
ルールを明確にしておけば親子で楽しめるはずです。
当たれば臨時おこづかいとして
ドル(例:1ドル)をあげることにします。
■25 なぜドル円おこづかいなのか
おこづかいを円で与えることの意味を考えたこと、ありますか? 恐らく明確な理由もなく、
自分もそうだったらから、
周りもそうだからというだけではないでしょうか。
・なぜ円であげる必要があるのか?
・なぜ固定金額(=円)なのかか?
・なぜ円をキャッシュであげる必要があるのか?
ここに疑問をもってみてください。
- なぜ外国為替なのか、なぜドル円なのか
国によっては自国通貨と別に隣国通貨や
ドル通貨など複数流通していることも珍しくありません。ユーロを流通させる欧州もEU前は、
仏フランや独マルクなどの隣国通貨が
一般庶民の間でも流通していました。
大陸国家の宿命かもしれません。
また欧米人や中国人など、
親戚が世界中に散らばっている場合もあり、
複数通貨の存在を身近に感じているのです。
ところが、お金は”円”であること、
円でもらい円で流通していること(固定相場)。
これが日本人の共通認識ですよね。
世界の基軸通貨であるドルでさえも
あまり手に触れる機会が少ないのではないでしょうか?
国際化の時代だと言われ続けていますが、
それはますます進んでいくでしょう。
子どもへの英語教育に熱心な親御さんは多いですね。
言葉、つまりコミュニケーションが大切なのは確かです。
同様に、世界共通言語である”お金”に対する教育というのも
とても大切だと思うのです。
- おこづかいは固定制度から変動制度へ
ドルおこづかいは、円に代わって、ドルにすることですが、
ドル札を手渡しはしません。
おこづかい帳に記入するだけのことです。
引き落とすときにドル円換算で円にする。
その過程で、ドル円レートに影響受けますので、
円ベースでは変動となりますね。
たったこれだけのことです。
子どもたちは、この変動するっていうことを
不思議に感じるか、変動して当然と思うか。
変動するということただそれだけで、
さまざまなことの気づきや興味を与えるきっかけとなります。
おこづかい帳の考え方も、
持っているお金の使途を記載することから、
いまいくらドルを持っているか、
円換算するといくらになるかへ変えてみるのです。
このドルおこづかいは、記帳することから始まります。
おこづかい帳の記入が、
三日坊主になることはまずありえませんね。
■注意事項
おかねである以上、ルールは厳しく!
円ドルレートの計算は銭単位まで計算はしっかりさせましょう。
小学校高学年にもなると自分で計算させるべきです。
間違った計算をして大損したとしても
それは自己責任。
手痛い経験こそ勉強になります。
また、おこづかいがもらえるのは月初限定。
これは絶対死守すべきルールです。
もらえるのは当然という考え方を、
時期は限定されているというルール。
日付を守るというのは金融の根幹的ルールですので。
コメントを残す